中古マンションは今売るべき?成約減・在庫増となった2026年9月の首都圏不動産市場を分析
2026年9月の首都圏中古マンション市場では、成約件数が前年同月を大きく下回る一方、売出中の物件価格は高い水準を維持しています。
「不動産価格はまだ上がっている」と感じるデータと、「以前より売れにくくなっている」と読み取れるデータが、同時に表れている状況です。
この記事では、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が2026年10月13日に公表した「月例速報 Market Watch 2026年9月度」をもとに、首都圏の中古マンション・中古戸建住宅市場を分析します。
これから自宅や所有不動産を売却する方が、現在の市場をどのように捉えるべきかも解説します。
2026年9月の中古マンション市場
2026年9月における首都圏中古マンション市場の主な数値は、次のとおりです。
| 指標 | 2026年9月 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 成約件数 | 3,457件 | −22.7% |
| 成約㎡単価 | 81.07万円/㎡ | −4.8% |
| 平均成約価格 | 5,111万円 | −4.5% |
| 新規登録件数 | 17,721件 | +15.4% |
| 新規登録価格 | 6,813万円 | +16.1% |
| 在庫件数 | 50,450件 | +15.1% |
| 在庫価格 | 6,971万円 | +27.5% |
成約件数は前年同月比22.7%減となり、6か月連続で前年同月を下回りました。
成約㎡単価は前年同月比4.8%減、平均成約価格も4.5%減となり、いずれも5か月連続の低下です。
一方、新たに売り出された物件の平均価格は6,813万円で、前年同月比16.1%上昇しました。在庫物件の平均価格も6,971万円となり、前年同月比27.5%上昇しています。
つまり、売主側の希望を反映した「売出価格」は上昇している一方、実際に取引が成立した「成約価格」と「成約件数」は低下しています。
売出価格と成約価格の差が広がっている
価格・件数の前年同月比
成約件数 −22.7% ██████████████████████
成約価格 −4.5% ████
新規登録価格 +16.1% ████████████████
在庫価格 +27.5% ███████████████████████████
在庫件数 +15.1% ███████████████
※マイナスは成約実績の低下、プラスは売出価格・在庫の増加を表します。
今回の統計で最も注目すべき点は、成約価格と売出価格の方向が一致していないことです。
不動産ポータルサイトに掲載されている価格は、原則として売主が希望する売出価格です。掲載価格で実際に売れたことを意味するものではありません。
一方、レインズの成約価格は、実際に売買契約が成立した物件の価格です。
在庫価格が上昇していても、成約件数や成約価格が低下している場合には、売主側の価格設定と買主側の購入判断との間に差が広がっている可能性があります。
ただし、これだけで不動産市場全体が一律に下落局面へ入ったと判断することはできません。毎月の平均価格は、成約した物件の所在地、面積、築年数、価格帯などによっても変動するためです。
在庫が5万件を超え、買主が比較しやすい市場に
2026年9月末の中古マンション在庫は50,450件で、前年同月比15.1%増となりました。在庫件数は7か月連続で増加しています。
売却物件が増えると、買主は似た条件の物件を比較しやすくなります。
たとえば、同じ沿線や近隣エリアで次の条件が近い物件が複数売り出されている場合、価格設定や室内状態の違いが反響数に表れやすくなります。
- 駅からの距離
- 専有面積と間取り
- 築年数
- 所在階と向き
- 管理状態
- リフォーム履歴
- 管理費・修繕積立金
- 引き渡し条件
在庫が少ない時期には、多少高めの価格でも買主の候補に入りやすいことがあります。一方、在庫が増える局面では、周辺の競合物件との比較を前提に価格を設定する必要があります。
東京23区も成約件数は減少
2026年9月のエリア別データを見ると、東京23区の中古マンション成約件数は1,385件で、前年同月比30.6%減少しました。
成約㎡単価は130.39万円/㎡で、前年同月比0.9%低下しています。
| エリア | 成約件数 | 前年同月比 | 成約㎡単価 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|---|
| 東京23区 | 1,385件 | −30.6% | 130.39万円 | −0.9% |
| 東京都多摩 | 314件 | −28.0% | 55.29万円 | −5.7% |
| 埼玉県 | 398件 | −18.6% | 43.16万円 | −3.6% |
| 千葉県 | 447件 | −6.7% | 43.19万円 | +7.2% |
| 横浜・川崎市 | 658件 | −14.5% | 66.39万円 | +1.2% |
| 神奈川県その他 | 255件 | −16.7% | 46.55万円 | +11.7% |
全エリアで成約件数が前年同月を下回りましたが、㎡単価の動きには地域差があります。
東京23区全体の平均値を、練馬区や個別の沿線・町丁目にそのまま当てはめることはできません。練馬区内でも、駅、築年数、マンションの規模、管理状態などによって売却価格と売却期間は異なります。
個別の不動産価格を判断する際は、広域の市況に加えて、近隣で実際に成立した取引事例を確認することが重要です。
中古戸建住宅は成約減でも平均価格が上昇
首都圏の中古戸建住宅は、マンションとは異なる動きとなりました。
| 指標 | 2026年9月 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 成約件数 | 1,658件 | −16.5% |
| 平均成約価格 | 4,116万円 | +5.4% |
| 新規登録件数 | 6,647件 | +2.3% |
| 在庫件数 | 23,587件 | +0.2% |
成約件数は減少しましたが、平均成約価格は前年同月比5.4%上昇しました。
東京23区の中古戸建住宅では、成約件数が前年同月比24.6%減となった一方、平均成約価格は8,188万円で、前年同月比17.8%上昇しています。
ただし、これは「すべての戸建住宅の価格が17.8%上昇した」という意味ではありません。高価格帯の物件が多く成約した場合など、成約物件の構成によって平均価格が上昇することがあるためです。
戸建住宅は、土地面積、接道条件、建物状態、再建築の可否などによる個別差が大きいため、平均価格だけで売却価格を判断するのは適切ではありません。
いま売却する場合に意識したい3つのポイント
1.売出中の物件ではなく、成約事例を確認する
査定価格を検討するときは、不動産ポータルサイトの掲載価格だけでなく、近隣で実際に成約した物件を確認する必要があります。
高額な売出物件だけを基準にすると、市場で選ばれにくい価格になる可能性があります。
2.売却開始後の反響を早めに検証する
売却を開始した後は、問い合わせ数、内覧数、買主からの反応などを確認します。
一定期間ほとんど反響がない場合は、広告の見せ方だけでなく、価格が競合物件と合っているかを検証する必要があります。
価格を下げれば必ず売れるわけではありませんが、反響がない状態を長期間放置すると、「長く売れていない物件」という印象を持たれることがあります。
3.高く売り出すことと、高く成約することを分けて考える
売出価格を高く設定すること自体は可能です。
ただし、最終的な目的が売却の成立である場合は、想定される成約価格、売却にかけられる期間、住み替えや相続などの事情を整理したうえで売出価格を決める必要があります。
査定額の高さだけで不動産会社を選ぶのではなく、その価格の根拠や販売計画まで確認することが大切です。
2026年9月の市場から読み取れること
今回のデータからは、首都圏の中古マンション市場が「売り出せば比較的成約しやすい市場」から、「競合物件との比較を意識して販売する市場」へ移りつつある可能性が読み取れます。
一方で、立地や管理状態などの条件が良い物件には、引き続き需要が見込まれます。
市場全体の平均値だけで、売却を急いだり、逆に高値売却を期待しすぎたりする必要はありません。
重要なのは、次の3点を分けて考えることです。
- 首都圏全体の市場動向
- 練馬区や沿線単位の需給
- 個別物件の条件と直近成約事例
この3つを照らし合わせることで、現実的な売出価格と販売方法を検討しやすくなります。
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調査概要・出典
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年9月度」
- 公表日:2026年10月13日
- 確認日:2026年10月14日
- 対象:首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)の中古マンションおよび中古戸建住宅
- 公式資料:東日本レインズ「Market Watch 2026年9月度」
※掲載数値はレインズに登録・成約報告された物件を集計したものです。価格、面積、築年数などは平均値であり、個別物件の価格を示すものではありません。
※2025年1月からの成約登録に関する運用変更により、成約件数の前年同月比較には制度変更の影響が含まれる可能性があります。


