増築した部分が登記簿に反映されていない住宅でも、直ちに売却できないとは限りません。ただし、登記上の床面積と現況が異なると、買主の住宅ローン審査や重要事項の確認、売買条件の調整に影響することがあります。
大切なのは、未登記部分の有無だけで判断せず、登記の問題と建築基準法令への適合状況を分けて確認することです。売却を急いでから慌てないよう、査定前に確認したいポイントを整理します。
増築部分が未登記とはどのような状態か
建物を増築したものの、その変更が建物の登記記録に反映されていない状態を、一般に「増築部分が未登記」と呼びます。たとえば、居室の拡張、サンルーム、車庫や物置などが現況にはある一方、登記事項証明書の床面積や構造が増築前のままになっているケースです。
過去の所有者が行った工事で、現在の所有者が把握していないこともあります。まずは登記事項証明書、固定資産税の課税明細、建築確認関係書類、現況の間取りや床面積を照合します。
売却前に確認したい3つの論点
1.建物の表示に関する登記
増築によって建物の床面積や構造などが変わっている場合、建物表題部の変更登記が必要になることがあります。必要な手続きや資料は物件ごとに異なるため、土地家屋調査士へ確認するのが確実です。
登記を整える場合には、現地調査、図面作成、申請などの時間と費用を見込みます。売買契約後に判明すると引渡し日程へ影響する可能性があるため、売却活動を始める前の確認が安心です。
2.建築基準法令への適合状況
登記を行うことと、増築部分が建築基準法令に適合していることは別の問題です。登記を整えただけで、建ぺい率・容積率、接道、構造、防火規定などへの適合が確認されたことにはなりません。
建築確認や検査済証の有無、工事時期、増築面積、当時の図面などを確認し、必要に応じて建築士や行政の建築担当窓口へ相談します。国土交通省も、既存建築物を増築・改修する際の法適合状況を建築士が調査するためのガイドラインを公表しています。
3.買主の融資と売買条件
登記と現況に相違がある場合の取扱いは、金融機関や物件の状況によって異なります。融資を一律に利用できないとは限りませんが、変更登記や是正、追加資料の提出を求められることがあります。
そのため、売主側で事前に状況を整理し、「引渡しまでに登記を整える」「現況を説明したうえで売買条件を調整する」など、対応方針を明確にしておくことが重要です。
増築部分が未登記のままでも売却できる?
物件の状況と買主の意向によっては、未登記部分がある状態で売買契約を結ぶケースもあります。ただし、売主が把握している事実を曖昧にせず、現況、登記との差異、確認できた資料、今後の対応を買主へ適切に説明する必要があります。
未登記部分を残すか、変更登記を行うか、是正や撤去を検討するかは、費用だけでなく、法令への適合状況、売却時期、想定する買主、融資利用の見込みを踏まえて判断します。「未登記だから安く売る」と先に決めるのではなく、調査後に販売方法を検討しましょう。
査定前の確認チェックリスト
- 登記事項証明書の床面積・構造と現況が一致しているか
- 固定資産税の課税明細に記載された床面積と差がないか
- 建築確認済証、検査済証、図面、増築工事の契約書や領収書が残っているか
- 増築した時期、場所、用途、施工会社を確認できるか
- 土地家屋調査士や建築士への調査が必要か
- 変更登記や是正を行う場合の費用と期間を見込めるか
売却時に必要となる一般的な資料は、不動産売却の必要書類チェックリストもあわせてご覧ください。
まとめ|登記と法適合を分けて早めに確認する
増築部分が未登記の住宅は、状況を整理すれば売却を進められる可能性があります。一方で、登記の変更、法令への適合、買主の融資という複数の論点があるため、自己判断で一括りにしないことが大切です。
EXELIONでは、現況と資料を確認したうえで、売却時期やご希望に合わせた進め方をご案内します。増築の経緯が分からない場合も、分かる範囲の資料からご相談ください。
【確認した一次情報】確認日:2026年8月17日
・国土交通省「既存建築物の活用の促進について」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutakukentiku_house_fr_000061.html
・法務省「不動産登記事務取扱手続準則」
https://www.moj.go.jp/content/001394394.pdf
※建物の状況や工事時期により必要な調査・手続きは異なります。登記は土地家屋調査士、建築法令への適合状況は建築士や行政の窓口へご確認ください。

